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UUUMが分析するyoutubeコンテンツ事業のリスクがネット事業全般のヒントになる件【有価証券報告書】

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前書き

この間UUUMがマザーズ上場の際に提出した有価証券報告書に書かれていた、現状の分析とリスク分析がかなり面白かったんですよね。

しかも、ガチガチの第一線で活動している会社だからすげーリアル

有価証券報告書の内容をかみ砕いて紹介しようと思いましたが、僕の語彙力では厳しいものがありました。

あとかなり長くなりました(5000字強)

ご了承ください。。。

UUUMが「うーむ」と悩んでいるリスク

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UUUMの事業内容もマジで紹介したいんですが、今回はUUUMが考える動画コンテンツ事業のリスクについて書いていきます。(長いんで)

やっぱ日本のyoutube市場の最先端を駆けている会社のナマの意見は半端ないですね。

有価証券報告書には大きく、

  • 事業環境に関わるリスク
  • 事業内容に関わるリスク
  • 法的リスクやレビュテーションリスク
  • 事業運営体制について

の4つのリスクを想定していました。

さらに1つ1つのリスクの中に、より細かく具体的にリスクが示されています。

事業環境に関わるリスクについて

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「事業環境」って言葉は漠然とした印象を受けると思うんですけど、まさに漠然としているんですよね。

youtuberを取り巻く環境というのは、世の中のスマホ使用率やyoutuberの収益の元となる広告市場、またUUUMに至っては競合他社(ジェネシスワンとかネクステージとか他事務所)等、実はかなり多様で広いんです。

有価証券報告書の中には、3つの事業環境に関わるリスクについて書かれていました。

  • 国内オンライン動画市場について
  • 広告市場の動向
  • 競合他社の動向

国内オンライン動画市場について

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動画広告事業の重鎮と呼ばれる、サイバーエージェントとデジタルインファクトが共同で調査し、発表した「国内動画広告の市場調査」によると、平成27年には535億円にまで成長しました。

www.cyberagent.co.jp

ちなみに平成26年はまだ317億円だったそうで、たった1年間で200億円超の急成長を遂げています。

テレビ広告市場は2兆円といわれており、急成長中といっても広告を出す企業も「お試し」の段階ということみたいです。

「テレビはオワコン」と呼ばれて久しいですが、なんだかんだテレビに集まっている金はとんでもないものがありますね。

ただ、博報堂DIYメディアパートナーズが出した「メディア定点調査2017」でネットにとっての朗報が発表されました。

mekanken.com

15~19歳/20代/30代の男性、および15~19歳/20代の女性においてはテレビのメディア接触時間<スマホのメディア接触時間なんですよね。

 今後もブロードバンド(高速かつ大容量の情報が送受信できる通信網のことです)の普及に伴って、オンライン上の動画コンテンツをいつでもどこでも見られる環境が整うことにより、オンライン動画の視聴頻度はますます増加すると予測しています。

そして、消費者の視聴スタイルが変化することによって、動画広告市場も当然オンライン動画広告市場へとシフトしていくと考えています。

ただ、消費者のオンライン動画に対する視聴回数や視聴時間が伸び悩み、予想通りにオンライン動画の市場が拡大しなかった場合、UUUMの事業・業績に重要な影響を及ぼす可能性があると考えています。

 広告市場の動向

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 先ほどは視聴者の動向だったのに対して、広告を出す側の市場動向についてもリスクを想定しています。

というのも、UUUMの収益源は企業の広告出稿に依存しているんですよね。

景気が悪くなる等の理由で広告出稿が落ち込んだ場合は、UUUMもダメ―ジを受けます。

競合他社の動向について

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日本のyoutube事務所といえばやはりUUUMが有名ですが、他にもGenesis One、VAZ、最近だとkiiiやsiLverといった事務所が競合として存在します。

特にNextStage(VAZ母体の事務所)が優勢で、ヒカルさんが猛烈な勢いでチャンネル登録者数・再生回数を増やしています。

先ほども書いたように、まだメディアはテレビが優勢でネットコンテンツへの広告出稿は「お試し」程度です。

少ない数の出稿主を他事務所に持っていかれたら収益に大きな影響は出ますよね。

また、有価証券報告書のなかには海外大手事務所の本格的な日本進出もリスクとしています。

海外のyoutuber事務所は詳しくないのですが、黒船のように日本にやってくる可能性も当然あるでしょう。

事業内容にかかわるリスク

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「事業環境リスク」では外向きのリスクをあげていたんですけど、内向きのリスクについても考えています。

  • 他社(主にGoogle)が運営している動画配信サービスへの依存
  • Google Ireland Limitedとの契約
  • 人気クリエイターへの依存
  • 新規事業開発
  • システムトラブルについて
  • 海外事業展開について
  • 技術革新によるリスク
  • 個人情報管理に関するリスク

他社(主にGoogle)が運営している動画配信サービスへの依存

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UUUM所属だろうとネクステージ所属だろうと無所属だろうと、基本的にGoogleが運営するYoutubeという箱の中でコンテンツを出しています

Youtubeの意向次第では突然コンテンツが消されたり収益源となる広告が出されなくなったりするのもあり得るわけです。

また、そもそもYoutubeの利用者数が減ったり広告媒体としての価値が下がったら広告主の数にも影響がでます。

UUUMの事業・業績はGoogle、Youtubeによって良くも悪くもなるんです。

Google Ireland Limitedとの契約

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Irelandとはアイルランド(国名)のことで、またここでのLimitedとは株式会社という意味です。

Googleの本社はアメリカにあるのですが、アイルランドにある支社との契約のことです。

これはどういうことかというと、Youtubeの動画再生時につく広告はGoogleAdsenseという種類なんですが、これを管轄しているのはアメリカ本社ではなくアイルランドにある支社なんですね。

当然、契約内容に反することをすれば打ち切られます

この契約が解除されるリスクとしては、UUUMグループの破産等の債務超過、事業譲渡等による事由、秘密の保持や保障違反などの重大な規約違反があることです。

人気クリエイターの依存

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UUUMでは所属クリエイター4000人のうち、人気クリエイター上位10人が総再生回数の49%を占めています。

youtubeで成功できる人は極わずかとは聞いたことあったのですが、具体的に数字にするとホント少ないですね。

最近では某しゃちょーが炎上しましたけど、上位クリエイターが炎上したり、活動休止したらUUUMは大打撃を喰らいます

さらに難しいのは、UUUMの戦略で炎上しないように活動を制限するとクリエイターの士気は当然下がるので、再生回数に影響がでます。

また、専属プロデュース契約は期間ごとに決まっているので、上位クリエイターが契約更新しないとUUUMに入ってくる額もゴッソリ減ります。

そして、人気クリエイターに依存することの意外な事実としてUUUM事務所内のクリエイターが1ヶ月でタイアップできる動画本数には限りがあるんですね。

人気クリエイターに案件が集中してしまった場合は対応することが出来ず、機会損失(タイアップ動画の広告費を蹴る)が発生して業績にも影響がでます。

新規事業開発

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UUUMはYoutubeマネジメント事業以外にも、アプリを出すなどの事業を手掛けています。

また、今回マザーズ上場にあたり出資者(株主)へ利益を還元するため、一層意欲的に活動する必要が出てきたように思います。

新規事業という響きはカッコいいですが、UUUMに限らず入念な市場分析や事業計画に反して、計画通りいかず損失を生み出してしまうリスクもあります。

例えば、東芝の一件は当時順調だった原発事業の流れに乗ってアメリカの原発会社を買収しました。

しかし、その後の311によって原発事業の風向きが大きく変わることになり、結果的に9000億以上の赤字を出すことになりました。

ここまで極端な例はめったにない(だからニュースになっているのでしょう)ですが、大なり小なり挑戦にはリスクがつきものです。

システムトラブル

インターネットを使っている以上、通信ネットワークに依存しています。

で、この通信ネットワークを支えるサーバーは空中にフワフワと浮いているわけではなく、建物の中に収納されています。

地震等の自然災害で、サーバーが壊れてしまったり、想定範囲を超えたアクセスが来た際にサーバーダウンしてしまうリスクは付きまといます。

最近でも、AbemaTVが「ジョーブログVS亀田戦」でサーバーダウンしたことが記憶に新しいです。

※ちなみに、現在は亀田戦で戦ったジョーブログがプロボクサーテストを3か月の訓練で受ける企画をやっています。

海外事業展開

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今は日本に留まっていますが、今後は海外進出も前向きに考えているそうです。

というか、今でもUUUMレベルの大手事務所が海外事務所とのコラボが目立たないのが不思議です。

日本のyoutube市場も盛り上がっていますが、やはり本場は海外です。

海外のyoutuberは1000万人登録を誇る人もいるそうで、規模が違います。

なんでも、1000万人登録の際には「ダイヤモンドの盾」なるものが貰えるらしいです(高そう。笑)

ただ、日本と法律の内容が違ったり、政治的な国際情勢も影響されるので利益確保に関しては新規事業同等、未知数な部分が多いです。

技術革新によるリスク

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主要メディアがテレビ→ネットに移りつつあるように、技術革新によってUUUMがついていけない変化が起こる可能性もあります。

携帯電話からスマホに替わったのも一瞬だったし、見過ごすことのできないリスクではありますよね。

有価証券報告書のなかには「動画メディアが無くなる可能性は低い」としていますが、例えばLINE株式会社も5年後に向けてラインを大幅にアップデートすることを報告しました。

japan.cnet.com

秒速で世界の発展が進んでいくので、3年先のビジョンすら全く想定できないというのが今の時代です。

個人情報管理に関するリスク

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これはどこの会社も抱えているリスクですが、やはり個人情報が漏洩して信用が落ちるリスクは当然あります。

ベネッセが顧客情報を漏らしてしまって、クオカードを配布して回っいたのが記憶に新しいですね。

特にUUUMはクリエイターの個人情報ファンクラブの個人情報を保有しているので危機感は大きいと思います。。

法的リスク・レビュテーションリスク

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レビュテーションリスクとは、企業に対する否定的な評価・評判が広まるリスクのことを指します。

俗にいう事務所の壁も、レビュテーションリスク対策が骨組みになってんのかなぁと思いますね。

  • 著作権の侵害
  • レビュテーションリスク
  • 法令の解釈・適用

著作権の侵害

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 UUUMクリエイターだけでなく、外のクリエイター著作権を侵害することもリスクとしてあります。

割と最近でも、ヒカルさんがヒカキンさんの画像の1部(確か顔写真)を動画にあげたことが問題になりましたよね。

また、youtuber同士でなくても、他のブロガーやツイキャス主が著作権侵害をする恐れも往々にしてあります。

しかし僕もブログをやっている以上、気に掛けることは多いんですけどマジで複雑です。

 ちきりん氏も推薦していて、著作権のみならず「知的財産法」全般について学べる一冊。

僕も買いましたが文体も軽くて、扱っている題材も面白いです。

楽しく学べる「知財」入門 (講談社現代新書)

楽しく学べる「知財」入門 (講談社現代新書)

 

 

※ちなみに、当ブログでは使っている画像は基本的に帰属表示無しで商用利用できるものから選んで使っています。

また、例外的に引用として使っている画像も帰属表示を付けています。

レビュテーションリスク

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企業に対する否定的な評価・評判が広まるリスクのことを意味します。

この間も某しゃちょーがゴルフを折って炎上しましたが、UUUMクリエイターが公序良俗違反の動画著作権侵害になる動画第三者から見て不適切な動画をあげると、会社まで炎上することになります。

例のゴルフの1件でも、「事務所はどうなってんだ!クリエイターにどういう指導してるんだ!」と他youtuberからも意見があがっていました。

ただ、規制を厳しくしすぎるとクリエイターの士気が下がるのは否めないですし、人気クリエイターがUUUM脱退するとかなり困ります。

バランスが本当に難しいと思いますね。

法令の解釈・適用

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インターネット事業も、アプリ開発事業も最近になって出てきた事業ですので、今の法律解釈とUUUMの法律解釈でズレが生じる可能性があります。

知的財産法の条文とか、民法・刑法・憲法の5倍くらい長く六法を見るだけで視力が下がるレベルです。

また、新しい事業ということもあって判例も少なく、法曹も正解を模索している最中なんですよね。

事業体制の運営

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最後に、事業体制の運営についてのリスクを挙げています。

  • 代表取締役への依存
  • 社歴が浅い
  • 優秀な人材の獲得・育成
  • コーポレートガバナンスの維持
  • その他

社歴が浅いとか、仕方ない部分はありますが人材に困っているのは意外でした。

代表取締役への依存

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代表取締役は鎌田和樹氏なんですが、この人が動画市場の動向にめちゃめちゃ詳しいらしく、経営の決定に非常に重要な役割を持っています。

元々通信回線の会社で働いており、UUUM創業からマザーズ上場まで持って行った剛腕です。

会社にとって強力な頭脳である反面、何らかの事情でUUUMを去ることになった場合、致命的なダメージを負います。

1人の優秀なリーダーに頼りすぎる組織というのは意志決定が速い一方で、なかなか脆い一面がありますね。

社歴が浅い

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なんせ設立が平成25年で、人間の年齢にすると(アホな比較ですが)3歳です。

社歴が浅いとマズイことって別に無さそうですが、今後の業績を判断する材料がないんですね。

動画を観る側にとっては特に関係ないかもしれませんが、UUUM内での経営判断、外部の出資者にとって判断材料が少ないのはお腹の痛い問題です。

ただ、googleの設立がほんの20年前とかなんで、だいたいのIT企業は社歴なんてほとんどありません。笑

優秀な人材の確保・育成

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いかんせん上場して資金を集めることになったら、株主のために利益を出す必要が出てきます。

利益獲得のためにはクリエイターの活動を促進したり、新規事業を打たなければなりません。

そこで必要なのはやっぱり人材です。

UUUMには4000人超のクリエイターがいるのですが、対してUUUM社員は140人程度と非常に少ないです。

今後は積極的に採用活動をしていくそうですが、優秀な人材が集まらなかったり、人材の流出が進む可能性をリスクとして挙げています。

コーポレートガバナンスの維持

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コーポレートガバナンスとは、経営者がワンマン経営をしたり、社内の利害関係者だけにとって都合のいい経営にならないようにチェックすることです。

今時点ではコーポレートガバナンスはちゃんと維持できているようですが、今後の事業拡大とともに乱れる可能性は出てきます。

これが壊れるとブラック化に繋がりますし、社内政治がはびこることになるわ、めちゃくちゃですね。

しかも、だいたい優秀な人材から抜けていきます。

放っておくと最終的には最悪な職場になるので、なんとしても維持したいですね。

その他について

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株式をストックオプション制度にしていることで、株の価値が希薄化するのではないか、というリスクを想定しています。

まず、ストックオプション制度とは通常社員に与えるもので、会社の株式を予め定めた価格で購入することができる制度です。

会社が「1株500円でいいよ」と価格を決めていたら、1株1000円になっても株を買うことができます。

その反面、1株300円になったら(株を売らなければいい話ですが)損することになります。

仮にUUUM株が1株500円から1000円に値上がりしたとして、社員以外の普通に株を買う人にとってはモヤモヤした感情が湧くことは確かでしょう。

また、1株300円になってしまったら社員にとっても複雑な気持ちになるでしょう。

UUUMはこれを「株の価値が希薄化するのでは」と懸念しています。

まとめ

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Youtuber事務所のトップランカーの視点から観る、ネット事業の現状とリスクの分析は堅い文体で書かれていても普通に面白いです。

どれだけ王道路線でどっしり構えているようで、スマホ使用率の動向やYoutubeの将来性を懸念しているのは人間味があって、読んでいて「あ、やっぱUUUMも不安なんだ」と妙に親近感が湧きました。笑